審査員からの講評

●丸山浩司  [多摩美術大学名誉教授]
今回の大賞展の審査は当初はスムースにできたと自負している。私の中で上位15位くらいまでに位置する作品群は
容易に選択できた。しかし、ここから10名を厳選し、しかも順位を付けることには大変苦心した。選外にした作品
の中にも評価すべき作品はあった。
今回、最優秀賞に輝いた「叶田百恵」の作品は非具象絵画、つまり完全な抽象ではないが、形や対象を明確にせず、
鑑賞する側にその内容の解釈を委ねることで、作品を豊かにしようとしている点を評価した。
今回はどちらかと言うと具象よりも抽象系の作品群の中で、静謐な抽象画の「樺山カナヤ真理」や「神頭優太」、
躍動感あふれる「篠田ゆき」、構造的な構成がしっかりしている「石居由望」らの作品に特に惹かれた。
しかし、この他にも優れた作品をあげたら枚挙に遑がない。
今回受賞を逃した作家の皆さんも自信を持って制作を続けてほしいと思う。


●車 洋二 [KURUM'ART contemporary ディレクター]
今回の第二次審査で最も強く感じたのは、全体にかなりレベルが高くて、私の基準で審査対象に入らない作品が
ほとんど無いということでした。一次審査でふるい落とされているとはいえ、これは出品者の真剣な気持ちの
表れと感じました。また今回は抽象作品に質の高い作品が多く見られ、具象偏重の傾向が見られた日本のアート
シーンに、多少の変化が起きる前兆のように感じました。今回も充実した審査が出来たことを、出品者の皆様に
お礼申し上げます。


●O JUN  [東京藝術大学教授]
順位の別なく受賞作品で印象に残ったものを挙げれば、飯島小雪さんの人物画(受賞作の方)。
上木原健二さんの風景画。若山真央さんの静物画(と呼んでいいものか?)。
Monzo渡邉さん。イメージ(絵)はさまざまであるが、どれも描くことの徹底性に注目した。
何が描かれているかの前にその絵を見る目を画面に這わせる作用があるから。素材と絵の具に画家の
躰が乗ってつくられる表層は山や川を眺めるように見てしまう。絵を描く行為はまったく人為に
よるものであるがそこには自然の相貌が覗けるのがおもしろい。

他、佳作、入選も含めて印象に残ったのは、
はまもとりささんの人物画。
相波エリカさんの絵。
三宅由里子さんの版画。
瑛加さんの絵。
三好真弓さんの風景画。
島村朋美さんの絵。
ミノリさんの絵。
この6人は共通している特徴的なことはあまり見えない。そのなかではまもとさんの絵は、人も身の周りの
ものも同じようなまなざしで描かれていて、画家のモノや空間を差異化せずまなざす目はそのまま見えている
領野を広げていると思った。

全体を見てあらためて思うことは何がどういう技法で描かれているかよりも、描く人の躰がどう対象や
素材と反応し合っているかが視覚化されているものに私は反応している。それならばもっと線や点など
単純な描画による作品に反応しそうなものであるが、今回の選考ではいずれも抽象度がさほど高くない
という印象だ。絵を描くことの“自然性”や“野生”というものにもっと視覚的に身体的に触れてほしい
というのが私のみなさんへの一縷の願いだ。さらに励まれてください。




【企画概要】
ACTアート大賞展は、The Artcomplex Center of Tokyo(ACT)が主催する2011年から
始まったS30号までの平面作品のアートコンペティションです。
2020年からは一次審査、二次審査を設けております。一次審査ではプリントアウトした出品作品を非公開にて審査員と共に審査、二次審査は
一次審査を通過したすべての作品を展示し、展覧会を開催いたします。最優秀賞 受賞者には、賞金として10万円+1週間の企画個展開催権を
The Artcomplex Center of Tokyoより贈呈いたします。


【二次審査について】
2022年4月7日(木)〜4月10日(日)
11:00-19:00 最終日は15:00まで
二次審査 入場無料
一次審査通過作品は上記期間内、アートコンプレックスセンターに展示され、
全審査員による協議により受賞作品を決定致します。

◆審査会場
The Artcomplex Center of Tokyo
東京都新宿区大京町12-9 2階
03-3341-3253
www.gallerycomplex.com



【結果発表】
2022年4月10日(日)夜 予定 



【賞・賞金について】
最優秀賞 1名…賞金10万円+アートコンプレックスセンターでの企画個展開催権
    The Artcomplex Center of Tokyo 2F ACT3またはACT4にて1週間の企画個展を開催します。

優秀賞…企画グループ展 8名
    The Artcomplex Center of Tokyo 2F ACT5にて、
    4名のグループ展を1週間ずつ開催します。

佳作 … 約10名程度
    ※展覧会会期後の受賞展は、最優秀賞、優秀賞の
    方の作品のみ展示させていただきます。

【審査員について】
神林章夫 [財団法人 神林留学生奨学会 理事長]
車 洋二 [アートディレクター・KURUM'ART contemporary主宰]
O JUN  [東京藝術大学教授]
丸山浩司 [多摩美術大学名誉教授]
式田 譲 [The Artcomplex Center of Tokyo 館長]

【二次審査展示会場の様子】




一次審査通過者発表
以下にお名前がある方は、2022年4月7日(木)〜4月10日(日)の間、
アートコンプレックスセンター「二次審査展覧会」にて、通過した作品を展示いたします。
また、一次審査通過者には、後日アートコンプレックスセンターより封筒が送付されます。
詳しい搬入方法については、そちらをご確認ください。

A-01 Kotono Masuda
A-04 sAi
A-07 Mei
A-08 大村正一
A-09 吉永 朋希
A-12 大森 さやか
A-18 Hyoji
B-06 まつッ
B-07 はまもと りさ
B-11 ラミマイラ
B-14 堀口紗穂里
B-16 飯島小雪
B-17 飯島小雪
B-18 朋絵
C-07 白湯
C-10 玲翠 REISUI/HIROMI KOGA
C-11 金子 一生
C-14 キムミンキュ
C-15 キムミンキュ
C-16 木戸 永二
D-01 伊藤果奈
D-03 鶴巻真一郎
D-06 島村朋実
D-07 福田さおり
D-10 中町香織
D-12 森田攝子
D-15 Goes Windy(ゴース ウィンディ)
D-18 多香 有優實
D-19 Radon
E-03 岩井 啓二
E-05 上木原健二
E-08 大竹 奨次郎
E-09 丹羽めぐみ
E-13 袴田真子
E-14 袴田真子
E-18 松坂 紀美代
E-20 樺山カナヤ真理
F-06 Oti Syuta
F-07 YUMIMPO*
F-10 佃 喜翔
F-12 相波エリカ
F-17 蜉己
G-05 村上有輝
G-06 カワバタ
G-07 篠田ゆき
G-08 カミジョウミカ
G-09 中井伸治
G-10 楠 拓也
G-18 ishiko
G-19 三宅由里子
H-03 牧野優希
H-04 牧野優希
H-08 若山真央
H-10 華苑
H-11 三好 真弓
H-12 鈴木 崇裕
H-13 神頭 優太
H-17 加納 芳美
I-02 瑛加
I-05 松坂慎一
I-06 渡部大地
I-09 木村優希
I-15 林 桃子
I-16 Monzo渡邉
I-20 ナカバヤシアリサ
J-03 田中 侑良
J-08 緒方智奈美
J-10 長谷川望
J-12 momomimu
J-13 熊谷陽奈子
J-14 山下 夏海
J-20 NiKE
K-01 合田 徹郎
K-02 石居由望
K-03 石居由望
K-06 小島拓朗
K-08 石倉かよこ
K-10 seila
K-14 甘 露華
K-15 高田しおり
K-17 叶田 百恵
K-18 橋本絵里奈
L-04 吉成文男
L-05 下坂卓也
L-07 佐東ヒロキ
L-08 SUM
L-11 笠原 菜々子
L-13 石垣純子
L-17 藤高 昇太
L-18 夢周周
L-19 夢周周
L-20 沖田愛有美
M-03 あさか
M-04 奥村希
M-05 奥村希
M-06 唐杉庸平
M-07 加藤公佑
M-08 ミノリ
M-09 mtdk
M-13 藤浪 美世
M-18 JUNA (ジュナ)
M-19 中田 雅和







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