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大槻香奈個展
「おなじ光、違う空の下」
2019/11/26(tue)-12/22(sun)
11:00-20:00
月曜休館 2F ACT5
大槻香奈個展「おなじ光、違う空の下」
個人的な話になるが、今年は海外に行ったり、また自分自身の環境を変えたり、写真作品等の新しい表現に挑戦したりと、これまでとは違う景色を感じられる体験を意識的に取り入れていた。その中で感じたことのひとつに「世界は繋がっているようで、繋がっていない」ということがあった。実際は繋がっているのかもしれないが、少なくとも自分の実感としてはそうだった。例えば日本国外に出れば、日本のことなどほとんどニュースで見ることはなかったし、また環境を変えれば、自分のことなど誰も興味がなかったりする。それは自分にとって面白く、また別世界が存在するということは救いだと感じた。
私は長らく日本的な呪縛から抜け出せず、ずっと日本に暮らし、いつもそこから未来について考えていた。それは作品制作の姿勢についても同じで、私は海外で自分の作品について語る時、制作のベースにある日本的コンプレックスを説明しなければならなかった。私はこれまで、あくまで自然と日本的な病に取り憑かれていて、フラットな自分や、何も考えずしれっと生きている自分自身の輪郭を、長らく忘れてしまっていたことに気がついた。それはなんと不自由なことか、とハッとして、危機感をおぼえたのだった。
そんなこともあって、私はこれまでとは全く別の世界へ、興味の赴くまま足を踏み入れることをしたいと思うようになった。そこで感じたことは、場所が変われば「空」の様子が全く違うということだった。単純に気候の違いによる視覚的なものだが、見たことのない空の色を、今年はたくさん見れたような気がする。私達は空で繋がっている…なんてよくいうけれど、本当にそうだろうかと思うほど、行く先々で、それぞれの空に出会えた。私が行った場所に限っての話ではあるけれど、違う空の下、そこには太陽の光だけが等しく存在していた。
「世界は繋がっているようで、繋がっていない」。圏外の世界を求めて旅に出る。そうして見えてきた圏内の世界について、これまで自分が描いてきた日本的なものについて、改めて感じたことを素直に描いてみようと思う。まだ知らない世界が存在していることと、自分の知る世界も少しずつ変化していくこと… この展示がそれを思い出せる装置になっていれば幸いに思う。
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大槻 香奈 Kana Ohtsuki
1984年、京都府生まれ。美術作家。嵯峨美術大学客員教授。
主にアクリル絵具を用いた絵画作品を中心に、「から」(空・殻)に基づいた制作を行う。2007年より活動を開始し、国内外を問わず、ほぼ毎月各地で展覧会を開催。イラストレーターとして書籍の装幀やCDジャケット等にも数多く作品を提供する。2018年に初の画集「その赤色は少女の瞳」(河出書房新社)を刊行。2019年5月には、自身の祖母の家を撮影した初の写真展「人形の住む家」(神保町画廊)を開催。
Twitter : @KanaOhtsuki
Instagram : @KanaOhtsuki
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メインビジュアル
「おなじ光、違う空の下」2019年 455×333mm 紙・アクリル
※本展覧会では差し入れをお断りしております。何卒ご理解のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
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