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加藤 苑 個展
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2013/4/16(tue)-4/21(sun) 11:00-20:00(最終日は18:00まで)
2F ACT4 |
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人やものの存在とは、意識や感情を伴う経験によって成立する。それが視覚的、又、物質的なものであれ、
実在することの多くは個々の不視覚的な経験に左右されると考える。
2005年の半ばより自己の認識をテーマに、生と死を意識し、作品には“手の殻”〈線のみで描かれ中身の抜けた
手形〉を使用してきた。365個や31個等の“手の殻”を並べた「カレンダー」シリーズでは、観る者が1つ1つの
手形と各々の1日とを重ね合わせ自己を確認していくことを目的とし、2元に挟まれたグレー・エリアに無数の
“手の殻”を混沌と配した「ポジション」シリーズでは、自己の選択肢(手形)を様々な形にすることで、一見
限られた中における人の在り方の多様性を表現した。
“線”は、実際には存在せず面上に於いて実現可能なものであり、引く・描く行為自体による身体性と、作家の
見解や感情・癖等がより明確に表れる場所でもあり、存在というテーマに適する1要素であると考える。又、
手相や指紋等遺伝的な要素と、職業や生活による環境的な要素のどちらも顕著に現れる“手”は、顔同様“個”を
特定出来る特別な部分である。その個性をあえて消去し、殻又は箱である手形は、個々が自由に出入り可能な
“モノ”として画面上に存在する。
2007年以降は制作を序除に主観的な視点へと移行、より平面的・装飾的な画面にし、単純化した細かな“文様”
を用いることによっても“身体性”を表現した。装飾するという行為は、人やモノや空間を華やかに見せると
同時に、空虚や欠点などと言われる“何か”を埋める行為であり、表面に出ることを望まない何かを隠す為の
行為でもあると捉えている。
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現在題材としているものは、空虚・矛盾などといった不可視的な要素を含む“存在の認識の曖昧さ”である。
可視的なものや一過性のものに対する“空虚”や、自由であることの中に生まれる“矛盾”と“空虚”。 視覚可能な
表面と、視覚不可能な内面、その相互作用。何事も、幾つかの相反する要素を持ち合わせる。又、ものごとに
対する認識も、各々の中で事実・真実というものが異なる。
作品は、“線描の重複”による人物像と、顔のない人物の“顔”を描いた“仮装”シリーズの、異なる2つの
表現の作品を平行して制作している。
独特の線描を重ねることにより浮き出る何処か現実味のない人物像では、混沌とした中にも静寂を感じさせる
画面を意識し、時間の推移による動きの変化と、それに伴う存在の認識の曖昧さを表現している。平面的に構成
した画面の中にあえて空間と時間をを盛り込み、限られた画面の中で一義的な意味を確定しない形を可視的に
提示する試みは、落ち着いた色味による安心感と裏腹に、何処か危うい不安定さを持ち合わせている。
“仮装”シリーズは、平面的・装飾的に描いた 顔のない人物の“顔”である。ネット社会と言われる現在の
情報社会の中では、何かと「表現の自由」を掲げて無責任な意見や情報が行き交い、なかなか実態の見えない、
顔の見えないものが多い。CGやメディアによるバーチャルな経験が自然と増え、どこか現実や自己に対する
認識が曖昧になりつつあるのではないか、思うことがある。又 一部には、流行や企業の戦略に踊らされ、
似たような格好やメイクをし個々の見分けがつかない人々や、表面ばかり繕い 人としての中身が伴わない人々も
いる。そんな現代の空虚感を、ポップな画面で皮肉的に表現している。
平面をあくまでも平面として捉えた画面作りは、自分が日本人であるという意識からである。現在は神仏習合が
主、若しくは現状無神教の人々も多い日本ではあるが、元々は多神教を源とし、西洋の人道主義と対を成すその
自然主義的な考え方は、現在も日本人の精神奥深くに根付いていると私は感じている。エコロジーがアニミズム的
要素と捉えるほど現在の社会を肯定的に見る事は出来ないが、平面を平面として独自の表現を遂げてきた日本の
美術・カルチャーは、在るものを在るがままに捉える自然主義精神に由来するものと考えている。
今後も引き続き試行錯誤を繰り返し、人々の“存在の認識”について、様々な提示をしていきたいと考えている。
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略 歴 ◆ 2008年4月まで “ 加藤怜子 ”の名で活動
1979年 愛知県生まれ
2004年 多摩美術大学 絵画学科 日本画専攻 卒業
財団法人 佐藤国際文化育英財団 第14期奨学生
2006年 多摩美術大学 大学院博士前期課程 美術研究科 修了
2010年 デジタルハリウッド 日曜・社会人クラスに半年間通学
&半独学にて3DCG(Maya)を学ぶ
個 展
2006年 「SEARCH」 (ギャラリー山口〈1F〉/ 京橋)
「MAKE SURE」 (フタバ画廊 / 銀座)
2007年 「THERAPY」 (ギャラリー空 / 上野)
2009年 「傲慢な空虚」 (ギャラリー山口〈B1F〉/ 京橋)
2010年 「肯定的空虚」 (Shonandai MY Gallery / 六本木)
アートフェア『ULTRA 003』にて 個展 ( 沼尾久美子 [ ギャラリー空 ] ブース/青山スパイラル)
2011 年 「線描の重複」 (木ノ葉画廊〈Femina2011にて〉 / 神田)
「線と線」 (Shonandai MY Gallery / 六本木)
2012年 「浮遊と欠落」 (Shonandai MY Gallery / 六本木)
グループ展 等
2002年 環展2002 Part2 平面の部 (アートギャラリー環/日本橋)
2004年 東京五美術大学展 (東京都美術館/上野/同‘06)
多摩美術大学 日本画専攻(有志) 卒業制作展 (東京銀座画廊/銀座)
多摩美術大学 卒業・修了制作展 (多摩美術大学キャンパス/八王子/ 同‘06)
史水展 (ギャラリー中沢/銀座)
2005年 上野の森美術館大賞展 (上野の森美術館)
多摩美術大学企画ギャラリーカフェ展示 (たまびば/八王子)
(財)佐藤国際文化育英財団 奨学生美術展 (佐藤美術館/新宿)
2006年 京都国際芸術センター 国際インパクトアートフェスティバル (京都市美術館/ 同‘07)
采展 (銀座スルガ台画廊/銀座/ 同‘07、‘09)
渓展 (ギャラリー渓/新宿)
2007年 gift展 (ギャラリー山口/京橋)
トーキョー・ワンダーウォール入選作品展 (東京都現代美術館)
2008年 空展 (ギャラリー空/上野)
here(3人展) (ギャラリー空/上野)
GEISAI MUSEUM 2〔総合順位 12位/606人中〕 (東京ビッグサイト)
Korea,USA,Japan International Art Festival ( ASTO MUSEUM of ART/Los Angeles,USA )
空間+視線 (吉田町画廊/横浜)
A-to展 (ギャラリー ユニグラバス銀座館/銀座)
2009年 和画展 (木ノ葉画廊/神田)
GEISAI #12 (東京ビッグサイト)
Young Artists Japan 2009 (デジタルハリウッド大学/秋葉原)
drawing展 (ギャラリー空/上野/ 同‘10、‘12)
イセ文化基金が応援する若手作家達展 (タマダプロジェクトコーポレーション/月島)
2010年 ユニグラバス小品展 (ギャラリー ユニグラバス銀座館/銀座)
2011年 春霞展 (木ノ葉画廊/神田)
Art for Lifeline (東日本大震災チャリティー展) (ギャラリー空/上野)
YOUNG ART TAIPEI 2011 ( Taipei , Taiwan )
The favorite one (ギャラリー空/上野)
Jupiter展 (銀座スルガ台画廊/銀座/ 同‘12)
“Imaginary” Japanese Contemporary Art Exhibition ( Moon Gallery / Queen's Road West , Hongkong )
2012年 大タネ蒔展(東日本大震災チャリティー展) (アートスペース羅針盤/京橋)
Girls Illust Exhibition#16 at Japanism Art ! (アートコンプレックス・センター/新宿)
ワンダーシード2012 (トーキョーワンダーサイト渋谷/渋谷)
ART AWARD NEXT #2 (東京美術倶楽部 東美アートフォーラム/新橋)
2013年 ワンダーシード2013 (トーキョーワンダーサイト本郷/水道橋)
常設展示・所蔵 名古屋ルーセントタワー3F ウェルネスセンター総合案内 、 整膚学園本部(名古屋市) 他
作家&作品掲載書籍・TV番組
◆ 2008年9月1日〜30日 BSデジタル778チャンネル「ぶらりメディア」にて作品38点が紹介される
◆ 現代美術アーティストファイル vol.8 (ART BOXインターナショナル)
◆ 現代美術の断面 2000〜2009年 (京都国際芸術センター)
◆ アートコレクター 2011vol.25 巻頭特集「すべて見せます!! 新人アーティスト350人」 (生活の友社)
その他
◆ 舞台美術助手・大道具制作
◆ 挿絵/イラスト/デザイン――CDジャケット・歌詞カード/ 店舗ポスター/ 飲食店ロゴ / 結婚式ウェルカムボード
◆ 現在 Maya,Photoshop,AfterEffects等を使用した 3DCG短編アニメーション作品を制作中
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