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ギグメンタ2015「日本画のハードコア」展
2015/4/7(tue)-4/12(sun)
11:00-20:00(最終日は18:00まで)
2F ACT5
「日本画のハードコア。1966年、美術評論家の針生一郎が「これが日本画だ!」展を企てたように、私もこれが日本画のハードコア=核心だと言い切ろう。作られた伝統を隠れ蓑に、素材と様式に盲信した絵画のことではない。そもそも、国名を冠したこの奇妙な絵画の一ジャンルは、日本が開国して西洋絵画の技法が導入された明治時代、西洋画に対して名づけられた。廃藩置県を行った明治政府が地方統治を一元化したように、日本画はそれまでの国内の諸流派をいわば統合するかのようにして、同時に西洋絵画の技法も取り入れることで、西洋の文脈に乗っ取った絵画を作り上げようとしたのである(たとえば今も日本の現代美術がそうした手法をとるように)。江戸幕府が倒れるまで日本最大の絵画工房を築き上げた狩野派に学んだ狩野芳崖が、フェノロサとの研究から西洋絵画の空間表現や色彩を作品に取り入れたことはよく知られている。その後の岡倉天心や横山大観らが試みた明確な輪郭線を持たない描法・朦朧体は、フランスの外光派から着想を得て生まれたものだった。「これが日本画だ!」展出品作家であり、戦後渡米した中村正義が強い影響を受け自作に応用したのは当時シーンを席巻していたポップアートである。これらのことは、日本画が伝統的な様式・素材の不変の継承ではないことを意味している。彼らの作品のテーマ自体(宗教画、歴史画、肖像画、風景画など)は必ずしも目新しいものではなかったが、そうして日本画は、日本だけではなく世界各地の美術シーンからも貪欲に学ぶことで同時代に対して新たな成果を挙げていった。したがって日本画のハードコアは、不変の伝統にではなく、美術史上の営みを咀嚼しつつ同時代に向けられたラディカルな創造性にこそ発見されなければならない。
明治維新から約150年、アジア・太平洋戦争敗戦から70年が経つ今日、現在の私たちが立つのもその延長線上である。すなわち日本画のハードコアの担い手は、ドメスティックでありながらも自閉的ではなく、伝統主義者というよりはアヴァンギャルドであり、近代に作られた日本画の制度とその歴史的過程でリミックスされ続けている主題と技法に対する批評的まなざしを持つ。美学校主催「ギグメンタ2015」の一環で開催する本展が狙うのは、制作テーマも世代も異なるものの大学で日本画を専攻した6名の作家によって、日本画の超克や現代美術化を狙うのではなく、そして多様性の名の下に日本画の定義不可能性を語るのではなく、これこそが日本画のハードコアだと断言してみせることで、来るべき日本画を確信犯的に誘発することにほかならない。(小金沢智/本展企画者)」
2015年4月7日(火)〜4月12日(日)
会場:東京都 新宿 The Artcomplex Center of Tokyo 2階 ACT5
時間:11:00〜20:00(4月12日は18:00まで)
参加作家:
岩田壮平
蝦原由紀(加藤由紀)
大浦雅臣
田中武
中村ケンゴ
間島秀徳
料金:無料
オープニングパーティー
2015年4月7日(火)18:00〜20:00
会場:東京都 新宿 The Artcomplex Center of Tokyo 2階 ACT5
料金:無料
対談
『日本画と洋画のミームの摘発』
2015年4月11日(土)14:00〜16:00
会場:東京都 新宿 The Artcomplex Center of Tokyo 2階 ACT5
出演:
梅津庸一
小金沢智
料金:無料
プレスリリースダウンロード
出展作家
間島秀徳(まじま・ひでのり)
1960年生まれ。1986年、東京藝術大学大学院美術研究科博士前期課程修了。
中村ケンゴ(なかむら・けんご)
1969年生まれ。1995年、多摩美術大学大学院美術研究科修士課程修了。
大浦雅臣(おおうら・まさおみ)
1977年生まれ。2005年、武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻日本画コース修了。
岩田壮平(いわた・そうへい)
1978年生まれ。2002年、金沢美術工芸大学大学院美術工芸研究科絵画専攻日本画修了。
田中武(たなか・たけし)
1982年生まれ。2010年、九州産業大学 博士後期課程 芸術研究科 造形表現専攻(日本画)修了。
蝦原由紀(えびはら・ゆき)/加藤由紀(かとう・ゆき)
1987年生まれ。2012年、筑波大学大学院人間総合科学研究科博士前期課程芸術専攻芸術学領域群日本画領域修了。
◎企画:小金沢智
(中村ケンゴ『自分以外』パネルに和紙、岩絵具、顔料、アクリル、樹脂膠、1455×1455mm、2014年、画像中:田中武『印相(十六恥漢図シリーズ)』高知麻紙に岩絵具・水彩絵具・珈琲出汁・墨、1940×1300mm、2010年、画像下:蝦原由紀(加藤由紀)『ヤヌス』鳥の子紙に胡粉・箔・岩絵具・ダーマトグラフ、1620×1620mm、2014年)
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